株式会社アイケン

安全・安心な蓄電池非常用バックアップ電源-安心-の公式ページです。アイケンは非常用電源の製造、販売をしています。停電対策はお任せください。

東日本大震災から10年の節目に

2011年3月11日に東北地方東部を中心に起きた東日本大震災。
1万8千人を超える犠牲者と甚大な経済的被害をもたらしたこの震災ですが、弊社にとりましても大きな契機となりました。

今年10年を迎えるのを機に、当時の事などを少しお伝えできればと思います。

震災当日は、弊社本社のある大阪でもゆっくりとした大きな揺れが1分以上続きました。阪神淡路大震災を三宮で被災した弊社社長が、「これは大変な地震だ」と業務中にもかかわらず、被害状況の確認等致しましたが直後では何もわかりません。「首都圏のお客様は大丈夫だろうか」と電話を試みましたが、震災直後は電話も繋がりません。

週明けの3月13~14日と福岡近辺にて仕事の予定があり、新幹線に乗ったのですが、車内の電光掲示板の文字は忘れる事が出来ません。「〇〇市壊滅状態」、「仙台市〇〇区で200~300人の遺体」「宮城県警本部長、犠牲者は1万人超か」といった、普段見ることの無い文字が延々繰り返されます。

博多駅周辺では、携帯電話が繋がらなず、すっかり使わなくなった「公衆電話」に長蛇の列。本社には問い合わせが殺到している状況で、気になり会社に連絡をしたいと考えても公衆電話に並ぶしかなく、隣の方が必死でご家族の安否を確認されているのを痛ましくお聞きしました。

たまたま納品先様には大きな被害はなく当日の停電にもお役立ていただいた旨を後から伺い、大変安堵致しました。

元々弊社の機器は、前述の弊社社長の川崎の被災体験(弊社社長の阪神大震災被災体験)から開発され「電気が無ければ何もできない。」との想いから、「屋内で簡単に使える電気が無い」「バッテリーを利用して何かできないか」と模索し、製品化したものです。東日本大震災の7年前。今のように世の中に「蓄電池」といったものが出回る前になります。

当時、納品先様には産婦人科様や不妊治療施設様が圧倒的に多く、震災後の納品時に北関東や首都圏を回った際には震災直後の様々なお話をお聞きし、医療商社の方が取引先の産科様宛に水や食料等を調達して届けられたお話や、産科様が災害時には「地域の拠点」として周辺住民の方々への対応を積極的に行われたお話も多く、頭の下がる思いが致しました。不妊施設の先生方や培養室ご担当者様は、「どうやってたまごを守るのか」に腐心されていました。

「実際の災害時に何をどう活用すべきか」

非常時対応としての製品を販売している弊社としては、「実際の災害時に何をどう活用すべきか」といったお話をお客様に、お差支えの無い範疇でヒアリングし、それを皆さまにお伝えすることも大事な役割だと考え、出来るだけ当時のお話をお聞き致しました。震災当時に弊社機器は東北地方には納品実績は無く、あくまでも「東京電力管内の電力不足に苦慮されたお客様」だった為、お話をお聞きできた部分は大きいと思います。

非常用電源をお考えの時、災害経験の無いお客様はどうしても最低限の機器として「これだけバックアップ出来ればいい」とお考えなのですが、「本当に電気が止まってしまった時に他に困るものは無いのか」という事は意識しながらお話するようにしています。

例えば培養室の場合は「培養器のバックアップ」を一番に考えがちなのですが、「培養室内が真っ暗になってしまわないか」「作業中の視野の確保は必要ないのか」といった事をお話致します。納品後に「ここが足りなかった」と思われないように、ある程度の想定をお伝えし、機器の容量のご相談や「1台で賄う工夫」をお聞きした実際の経験談やアイデアをお伝えするように致します。密室である培養室内では、LEDのスタンドが1~2台室内にあるだけでも蓄電池の容量を気にせずに明かりを確保していただけます。そういった具体的な方法をお伝えすることで、よりご安心いただけると考えるからです。

産科様の場合は、「一番に分娩やOPE対応」というのは当然なのですが、「入院患者様のナースコールの対応」や「新生児室の対応」「外線(緊急のお産の連絡)の対応」などをどこまで考えるのかなど、ご予算やお考えをお聞きしながらご相談致します。事務機器類をお使いの一般企業様でも同様に様々な工夫がございます。

「如何に非常時に実際に役立てていただけるのか?」を絶えず考えながらお客様と相対しております。

いつ起こるかわからない災害の備えは、日常を過ごしていると忘れがちです。「使うかどうかわからないもの」に割く予算は最低限にしたいというお考えも、もっともな事です。しかしながら、せっかく購入いただいてもお役立ていただけなければ意味をなさなくなります。

「災害」とは違い、「停電」は建物内の電源トラブルも含め、通常の様々な要因で起こります。「雷」「ゲリラ豪雨」「台風」「電気工事」「人為的ミス」などなど。しかしながら、要因は何であれ電気が止まってしまうと、日常の業務は全て立ちいかなくなります。弊社の納品先は大半が医療機関様ですので、なおさらの事と拝察いたします。

「導入いただいた機器を、非常時にどう工夫すればより円滑に業務を遂行いただけるのか」

今後もこのテーマを大切にしつつ、お問い合わせ時や納品後にお客様に寄り添っていけるように、進んでまいりたいと存じます。

2021年3月11日
   株式会社アイケン
   取締役 河野恭子